第1回 会長 長友啓典×副会長 門上武司

人形町「松浪」にて
出席者:長友会長、門上副会長、「松浪」の女将さん/進行:若山事務局長

記念すべき第1回対談まずは 松浪」の歴史から

会長「もう、ここのお母さんとはね、30年になるかね。」

女将「ずいぶん、なりますよー、」

会長「お嬢さんがまだランドセルしょって、うろうろしていた頃だから。今、お嬢さん、子持ちやからね。」

女将「そう。」

会長「おいしいお好み焼屋を探して、はや何年?。東京に出てきて。」

事務局長「60年です、この店は。はじまって。」

副会長「60年ですかあ、はぁ。」

副会長「1951年、昭和26年、私、64年生まれですから。厄年です。」

会長「東京オリンピック?」

副会長「そうです!東京オリンピックの閉会式の前の日に。」

事務局長「60年前は、1枚いくらくらいだったんですか?」

女将「たいして値段変わってなくて500円くらいだったと思うんですよ。」

会長「60年前?100円くらいちゃう?」

女将「100円はなかったと思うんですよ。」

会長「僕ね、50年近く前に、初任給9千円やったもん。」

女将「その時のメニューがないんですよ。」

副会長「50年前、タクシー100円とか80円とかで、

ルノーのタクシーとか走ってましたよね。」

会長「そうそう、ルノーのタクシーね。」

事務局長「コーヒー50円の気がしたんだよなあ。ぼくら中学、高校のころ。だいたい300円ってことはないと思うんですよね。」

副会長「ここは、最初、誰の紹介なんです?」

会長「話の特集でね、”下町探訪”ってなことを矢吹伸彦がやってたんよ。イラスト入りで。っそれで知ったの。」

副会長「あれですかー!」

会長「あれだってもう30年、ちょうどその頃ね、お好み焼き屋探してたから、すぐばくっと飛びついて。」

 

お好み焼のはじまり。

事務局長「やっぱり戦後ですよね。お好み焼きって、いつものですかね?」

会長「いや、戦後って。俺、小学校。終戦の時に小学校入学やからね。その頃、もうあったもん」

副会長「食べてました?」

会長「食べてたもん、小学校でしょ、おれ、小学校で、初めてお好み焼き屋でツケで食うてたもん。」

副会長「近所の?」

会長「近所の。そこからツケが始まってん、つけ人生が。」

副会長「つけ人生が(笑)」

会長「子供の頃、いかに親から卵をちょろまかして。」

事務局長「昔、貴重品ですもんね。」

会長「貴重ですよ。病気にならないと食べさせてもらわんような。」

副会長「生まないとなかったですもん、ブロイラーじゃないですからね。」

会長「大阪、千林に服部良一さんのお姉さんがやってるお好み焼き屋があって、それは一番古い商店街って先輩が言ってて、帰りにはそこによく行くって、」

副会長「いやぁ、本当にね、普通の家の…台所やないけど。」

事務局長「軒先ですよね。」

会長「軒先に石段があって、そこにおばあちゃんとおじいちゃんがいて、こうやってる。」

副会長「庭と玄関の上がり馬のような。」

会長「たたきというかね」

副会長「駄菓子屋の前のようになって、みんなね。」

事務局長「いくらくらいだったんですか?」

副会長「5円とか、10円とか、」

事務局長「一銭洋食!」

会長「一銭洋食とは、言わんかったと思うねんけど。」

副会長「ぼくは一銭知らないですもん。」

事務局長「戦後のお好み焼き屋さんって、具はどんなもんが?ネギと…」

会長「今と似たようなもんやな、キャベツが主だから。」

副会長「ほとんどキャベツ、だいたいキャベツだよ。それと豚バラ肉を伸ばしてね。こう、うすく延ばして。脂身の多い豚肉の方がうまいんですよ。上に天かすをかけて。」

事務局長「関西はひっくり返すんですよね。大阪はひっくり返さないですよね。」

副会長「ソース塗ってから?」

会長「上に塗って、このあれをかけて、ひっくり返して。

広島はそばとか入れて。ソースかけて。で、あわせて…。」

関東と関西のお好み焼。

会長「別にうんちくとかそういうんじゃないんだけど、小さい頃から食べてたか、食べてないかで、全然違うと思う。

東京の人って、やっぱり圧倒駅に食べてないやんか。おいしいとかどうかわからへんと思うの。」

事務局長「ボクは卵持って、ご飯持って、チャーハン作ってもらってました。お好み焼き屋で、家でご飯美味しくないから、」

会長「それはありやね」

副会長「そばめしとか?」

事務局長「小学校で、やっぱり溜まり場になってましたね。」

会長「そうそう。」

副会長「食べに行って、弁当の白ご飯をあっためさせてって。それだったら、一緒でええやってのが、そばめしの誕生は。」

事務局長「ブリキみたいな弁当箱で、ご飯をあっためてた。」

副会長「アルマイトとか、そんなん。」

副会長「油粕というのは、結構こっちでも認知されてるんですか?」

事務局長「されてますねぇ。よく、そば屋の入り口に袋に入れて、ご自由にお持ちくださいって。」

会長「あぁ、あのかす。天かすじゃなくて、油かす。」

副会長「それじゃなくて、牛とかの小腸を油でずーっと煮込んで。」

会長「これ入れるとね。独特のね、旨味が出るんですよ。うどんに入れてもええし、お好み焼に入れてもええし。」

副会長「もともとはソウルフードですね。あのキャベツ…、」

副会長「大阪はお酒飲みながら食べるのって、いつ頃からですかね。昔からそうだったんですかね?子どもの頃行っていたお好み焼き屋って、酒、無かった気がしますよね。」

会長「東京はだいたいお好み焼きがあるのって甘党の店でしょ。甘味屋の中に、お好み焼きが2種類くらいあって。」

「松浪」の名物料理。

会長「では大阪の友を前にして、私を焼かせていただきます。」

女将「はははは(笑)」

女将「これが”松浪やき”。これが醤油。」

会長「ネギとアサリでしたっけ。」

 

女将「”松浪やき”っていうのはお醤油で召し上がって、”芳町やき”っていうのは、ソースなんですけど、その二種類お持ちしますか?」

会長「はい。ただあまり食べてしまうと他のが食べられなくなるから。この”合鴨やき”いうのがね、ネギと一緒にやるんですけどね。」

副会長「”合鴨やき”いうんですか。」

 

会長「田中一光先生がね『長友くん、これはトウールジャルダン以上にいくね。』言うくらいに結構行けるんですね。」

会長「最後の鴨の脂とネギが、にやあーってなったところがうまいの!」

副会長「鴨の脂がいいですもんね!」

会長「おお、ええ色になってきた。卵が入ってへんから。貝から、貝汁が出てくるから。」

副会長「東京湾のあさりですか。」

会長「江戸前のね。はまぐりとか築地から持ってくるの。」

大好き会の唄。

副会長「歌とか作るんですか?」

事務局長「これですか、教会で?」

副会長「お願いします。いいと思います。」

会長「そんなんねぇ、作った方がええで。」

事務局長「じゃ、作詞は会長が。」

会長「作詞って…。コピーライター…。」

事務局長「いいやつをヒットするようなヒットソングを作りましょうか。」

会長「曲、誰?」

事務局長「どうですか。マツケンサンバの小西康腸さんとか。」

会長「いや、それはええけど…。大阪…大阪…だよな。大阪の昔懐かしい、中村奉士さんとか。」

副会長「中村奉士、まだいてはりますよねぇ、なんか選挙にでた…・」

事務局長「作曲ですよね。」

会長「お祭りやんねんなら、ちょっと音頭ものの歌だとええかも知れんね。」

副会長「お好み焼き音頭!」

会長「盆踊りを踊れるような。」

事務局長「わかりました…。夏祭りように作ってもらいますか。作詞してくださいね(笑)。」