第8回 めちゃうま、新宿「ぶち旨屋」。

最初のとん平焼きを口にしたときから食べ終わるまで、
とにかく「めちゃくちゃうまい!」の連発だった。
夏の終わりに西新宿にひっそりとある
広島お好み焼「ぶち旨屋」さんにお邪魔した。

お好み焼はなぜか男同士が多いが、
今夜はなんと仕事仲間6人でワイワイやった。

何年か前にここを紹介してくれたのは
やはり広告業界の仲間で、コテコテの広島出身の男。
広島風と言えばここしかない、という
彼の言に違わぬ「ぶち旨い」店だ。

店の外観はどこにもあるような
言っては悪いが超庶民的なお好み焼屋さんだけど、
中に入ると空気は一変する。

 

新宿らしく、とにかく若い男女でいっぱい。
でもみんなまじめに働いてる人っぽいよ。
和気あいあいで見てるだけで嬉しくなる。
こうして毎日開店まもなく満杯になる店なんだ。
われわれおっさんたちは奥の隅っこの席で、
これでもかと飲んで食った食った。

少人数のときに鉄板の前に陣取って、
オーナーの高尾さんのしゃきしゃきっとした
へら捌き楽しんでいるんだけど。

チーズとん平、絶品。
とん平なのに、チーズなのにこのさっぱりし感は何!!
お好みの肉玉そば、キャベツがしっかりと甘い。
そば入りなのにそばを感じない。

広島産ネギかけ肉玉そば、イカ天効いてる。
なにこれ?もう別次元のお好み焼。
粉もんなんで感じしないよ。
チーズ肉玉そば、チーズと餅の相性って
こんなによかった?チーズ、ほわっとして香ばしい。

一人じゃこんなにいろいろお好み食べられないから、
みんなで来てよかった。

高尾さんは腰の低い静かな人だ。
どんなに忙しくても同じペースで仕事をこなす、
それでいてお客を待たせることもない。
アルバイトの子たちも気持ちいい。
テキパキ丁寧によく働く。

以前ちょっとだけ、一瞬店が暇なとき
高尾さんに聞いたことがある。

店ができてからもう9年になることは知っているけど、
どこかで修行をしたのかと。
ニコッと笑って広島の「みっちゃんで」と・
ここにいた井畝満夫さんの弟子が。
納得!!広島のお好み焼を興した伝説の人だ。

お好み焼を平らげたその下から
オタフクのマークが出てきた。

へー、オタフクソースはヘラだけかと思っていたら
こんなお皿までつくってたんだね。
広島って郷土愛が半端じゃないから。
ネギも広島、ソースも広島、焼酎も広島、
そして野球は広島カープ。

西新宿の隅っこに広島があるよ。

若山憲二


西新宿 広島お好み焼「ぶち旨屋」 TEL:03-3364-0807